"独り"草木染め WORKSHOP #1

December 13,2017 /

草根木皮、これ小薬。 鍼灸、これ中薬。 飲食衣服、これ大薬。 身を修め心を治める、これ薬源なり。

中国の古い「書経」という経典に書かれている教えだそうで、健康にとって普段の食事や着る服がどんな薬や治療よりも大切。といった感じでしょうか。いわゆる東洋医学の考えが凝縮している言葉に思えます。なるべくクスリや医療に頼らず普段の食事でサバイブしたい僕にとっては都合の良い言葉でもあります。元々、草木染めのルーツは薬草染めと言われています。植物が持つ効能を衣服から取り入れる。近代生活にどっぷり浸かっている僕らにはちょっと胡散臭く聞こえてしまうかもしれませんが、包帯に植物のエキスを塗ったものが湿布だと思えば、そんなにぶっ飛んだ話でもないですね。漢方は植物の根や皮をブレンドしたもの、クスリは植物から効能ある成分を抽出しブレンドしたものなので、クスリは症状に対して効きが早いぶん、アレルギー反応としての副作用も大きい。クスリに比べ、精製のレベルが低い漢方は、効きもマイルドなぶん、副作用があってもマイルド。その点でいうと、植物を煮出した染料で衣服を染める草木染めは、漢方よりもマイルドな"お茶"染めに近いかもしれませんね。均一な化学染料と違い、自然のものには色んな成分=色素があるので、なんとも言えない色あいに染まってくれるわけです。どんな植物でも染められる草木染めは、ほんとに面白いんです。

というわけで、日々暮らす多摩エリアでゲットした枝葉や木の実がどんな色で染められるかといった独りワークショップ連載を始めたいと思います!

第1回は、東京では都のマークとしても馴染み深い、イチョウです。街路樹や公園、神社の境内で良く目にします。息子の幼稚園近くに樹齢300年くらいの立派なイチョウがあり、そこの落ち葉をちょいと拝借しました。ちょっとイチョウのことをdigってみると...

"イチョウは、2億5千万年の地球の変化に耐えて今日まで生き残ってきた非常に生命力の強い植物で「生きた化石」と呼ばれます。原爆後の被災地の広島で最初に芽吹いたのもイチョウの樹だといいます。日本ではその葉はほとんど利用されていませんでしたが、ヨーロッパでは臨床研究が進み、種々の効能が確認され、利用されています" "種子は銀杏、銀杏仁、白果、白果仁、白果肉とも呼ばれ、肺を温め咳を止めタンをきり、毒を消す作用があり強壮強精の効果もあり頻尿、夜尿症咳などに効く"

イチョウの種子であるギンナンは食用としても知られていると思いますが、葉も種子も漢方の生薬として、化粧品や医薬品の原料として重宝されている薬用植物なんですね。葉の成分にはギンコール酸という有害な成分もあるようなので、拾って来てお茶にして飲むのは止めた方がいいみたいです。ギンナンの食べ過ぎも然りです。そういえば、最近4歳の息子が痰を上手く出せずに、こじれてしまって肺炎までいってしまいました。その時に処方された薬の中に痰きり剤もあったのですが、その原料もイチョウなのかな。だといいな。次はイチョウの葉のお茶とギンナンご飯で痰ケアしてみようと思います。

ではでは、染めの話を。イチョウの葉は、煮出す時に重層を加えアルカリで色素を抽出。地入れ(※1)したキッズTシャツを麻ひもで縛って煮染めし、ミョウバンと水で作るアルミ媒染(※2)で染めました。染料としてメジャーな植物以外はあまり色素が多くないので、そんなに染まらないかなと思ってましたが、予想よりは染まってくれました。ただ、染め方によってはもっと黄色に持ってけそうな気がしたので、またトライしてみたいと思います。上手くいけば、追記します。煮出す温度や、水のPH(※3)によって色が変わることも多いのが草木染めの面白いところでもあります。麻ひもで縛って染める「絞り染め」は、温度や媒染による色の変わり方が、グラデーション部分でなんとなく予測できるのでオススメです。あと鍋がそんなに大きくなくても染めやすいです。

工程メモ:地入れ →煮染め →アルミ媒染 →煮染め →アルミ媒染 →煮染め

※1:植物繊維の場合、染まりやすくするために大豆から絞る豆汁(ごじる)と呼ばれる液で繊維にタンパク質を付着させる。 ※2:媒染剤と呼ばれる金属が溶けた液を水で希釈し染めること。これは植物の色素と金属を結びつかせることで発色を良くし、同時に色を繊維に定着させることができる。 ※3:染料によっては、煮出す温度や抽出する水のPH値(酸性、中性、アルカリ性)で色が変わる。

Share Button

Tohru Fujie

Tohru Fujie

デザイナー・デザインディレクター。 Gaimgraphics 所属。九州出身(長崎生まれ、福岡育ち)。 よりローカルな循環をテーマに、Filt (Upcycle), Stampit (Organic Design) を主宰、日々あれこれ理想のデザインとライフスタイルを探求中。

CLOSE