SA-SHI-I-RE #1 / Fujiyasei-Pan Awashima-Ten

February 24,2016 /

差し入れ。 してもらうと嬉しいし、差し入れて喜んでもらえると嬉しい。てこたぁステキなことに違いない。 いいなぁと思う店に行き当たると、「あいつにも食べさせてぇ!」と、自分じゃ食べきれない量をつい買ってしまう。 そんなきっかけを探しに、今日も食いしん坊は街に繰り出す。 藤屋製パンは通勤路にあるパン屋さん。 通勤以前にも、三宿webというクラブに行くにもこの道は通っていた。つまりずっと存在を知っている店だった。ただ夜の移動が多かった僕は、開店している姿を知らなかった。 ある日その道を通った時、はじめて開店している店をみた。古い外観のお店からもれる暖かい光に、その時ちょっと感動した。いい店だ!と。しかしその時は素通りしてしまった。 それから半年以上たったか、なかなかお腹とお店のタイミングが合わず、やっとお店の扉を開けた。 扉から一番近い棚に並んでいたのは『きなこパン』。僕はきなこ揚げパンが大好きなので、『きなこパン』をきなこ揚げパンかと思った。見た目はうっすら揚がっているコッペパンで、肝心なきな粉がまぶされていない。あれと思った僕は「きなこが生地に練りこまれているパンなのか?」「パンの中にきなこが入ってるのか?」などと『きなこパン』というものを想像した。 とりあえず興味があったので『きなこパン』とたまごのサンドイッチをトレイにのせ、レジに進んだ。 レジには優しそうなおばあちゃんが、お客さんと軽い会話を交わしながら手際よくパンを包んでいる。僕の番が来たとき、「きなこねぇ」と一言いうと、ボウルに入ったきな粉を取り出し、そこに『きなこパン』をいれまぶし始めた。「やっぱりきなこ揚げパンだっだんだ!」と、心の中で叫ぶと同時に、自分の勘違いっぷりに恥ずかしくなった。 目の前でまぶしてくれたきなこ揚げパンは、僕が知っているそれとはまったく違った。 よく給食で食べていたきなこ揚げパンは、パンの表面に付いたきなこが湿っていて、ダマになっていたりした。しかし目の前にきなこ揚げパンは、パウダースノーみたくきなこが表面を覆っている。その光景や自分の勘違いは忘れられない。 そして事務所に到着して、一口食べたらもう、なんていうか幸せでしたね。 そのときに思ったのは、やはりこれはきなこ揚げパンではなく、きなこパンだと。 それから頻繁に通うようになる。きなこパンがあれば絶対に買うし、一緒に他のパンも買って食べるようになった。食べてみると総菜パンはうまいし、バターロールがまたうまい。食パンもうまいし、ミルキー(ミルクフランス)もうまいし、イチジクとクルミのパンもうまい。クリスマスの時期にはシュトーレンも焼いているのだが、これがまたうまい。 つまり何を食べてもうまい!完全にとりこです。 それでいくつか分かってきたことは、僕が初めに見たきなこパンは、揚げたパンを冷ましているところだったってこと。来店する時間に寄っては、ちゃんときな粉がまぶされ、袋に詰められている。 そんな藤屋製パンは、水曜から土曜の間の営業らしいのだが、その通りにやっていないことがよくある。休みが長く続く時など、おばあちゃんを心配してしまう。だから開店しているだけで嬉しくなる。 ある日僕が、きなこパンが大好きってことを伝えると、「きな粉がおいしいのよ、ここのきな粉が仕入れられなくなったらもうやらない」と、おばあちゃんが教えてくれた。なくなったらいやだな。 それからこないだ買いに行ったとき、「きなこのかた」と呼ばれた。 ちょっと嬉しかった。 Smallest a.k.a. きなこのかた。いい、とてもいい。 ということで召し上がれ。 thum02
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MC・DJ・プロデューサー。 東京出身。音楽を中心に生活をしている。 LIKE THIS SHOPの店長。 トリカブトのMCとして活動していた時にgaimgraphicsと出会う。 2010年にgaimgraphicsに加入。 Hip Hopを軸にし、世界中のダンスミュージックをディグるバンド、「Dig Dynamics Hip Hop doo-dah Band a.k.a. DIG DEE」のリーダー。 チップチューンユニット「Super Stars」のMC。 「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」のNO SIGHT役。 俳句集団「傍点」同人。 落語好き。 趣味は蒐集すること。 最近、DJの時はXXXSMALL、店長の時はアクツと使い分けている。

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